嘘だ!からだは左右対称なんかじゃない、心臓や肺のようにひとつしかない臓器がからだの真ん中にあるわけじゃないし、手足の長さだって違うじゃないか!
そうおっしゃる気持ちもわかります。少し説明させてください。
確かに内蔵器は左右対称ではありません。しんそう療方でも、もちろんそう言います。ただ私たちが見ている筋骨格系に関してはそうは言えません。右手についている筋は、背骨を介し左手にも同じようについています。足もしかり、左足にあって右足にない筋肉はありません。骨も同じです。パーツ(部品)としてみると、筋骨格系は解剖学図のように左右対称についています。
しんそう療方でいう「からだは左右対称性」というのは、筋骨格系のことを言っています。
でも手の長さや足の長さが違うよ、とあなたはいうかもしれません。最近話題になっている本で、身体の「構造学」について書かれた本があります。その本の中でも、「足の長さが違うのは解剖的にあたりまえ」「足の長さが違うなんていう治療家は信用するな」というようなことが書いてありました。構造学とは、人体の基本構造を系統学的に学び、人体各部の構造的特徴とその機能について理解する学問とあります。そんな内容の本の中に足の長さが違うのは当たり前と書かれていれば、ほとんどの人は信用してしまうでしょう。
足の長さが違うのは当たり前ではありません。本来、同じ長さであるべき足なのに、左と右で同じように使わないので差ができました。なぜそんなことが起こるのか、本来ならここで構造学がでてきて、構造から説明できるのです。
重心となる足は体重が多くかかるため重心側の股関節を突き上げることにより足は短くなる。重心側の短い方の足に体重がのりこみ、非重心側の足は長い分膝を曲げ、休めの姿勢をとることになり膝が外転する。骨盤は、、、と、構造学は続きますが、ここでは難しいことをいう気はありません。伝えたいことは、もともとの構造に違いがあるのではなく、使うことで構造上変化したということです。
「足の長さが違うなんていう治療家は信用するな」なんて言って身体の構造を見ていない人にからだを任せるのか。それとも、その違いはなぜ起こるのか、あなたの体の使い方を構造から説明できる治療家に任せるのか。選択の自由は皆さんにあります。
しんそう療方士は生きたからだの形を学んでいます。あなたのからだの使い方を、あなたがからだをどう使ってきたのかを、お伝えすることができます。
安心してください、私たちは「からだの形」のスペシャリストです。
からだは本来左右対称性にできているのになぜゆがむの、ゆがみはなおるの?と気になりますよね。からだはある程度の許容力を持っているため、楽だからといって悪い姿勢をしていてもすぐに悲鳴を上げるわけではありません。今のからだは、あなたの使い方でかかった内外圧の中で最善のポジションをとってきたに過ぎません。ゆがんでやろうとか、痛くしてやろうと、からだが思ってゆがんだわけではありません。
からだは本来もとに戻りたがっています。痛みなく自由に動く方が良いに決まっています。そして、からだはいつも「生きる」ことを最優先します。膝をすりむいてもカサブタができて自然に治っていきます。からだは生きるためになおす力を持っているのです。私たちのからだが内外圧によってゆがみや捻れを起こすのとは反対に、 "もとの状態" に戻ろうとする方向に力を与えてあげれば、からだは整った形になおってきます。
私たちのからだのバランスをとっているものはなんでしょうか。それはヤジロベエでもわかるように、両手両足がバランスをとっています。このからだのバランスをとっている両手・両足から調整し、からだ全体のバランスが戻るように調整することが大切です。
誰もが自分のからだをなおそうとする、復原力を持っていることを知ってください。
しんそう療方は、「力」でなく「技」をからだに与えます。からだの各機能に逆らうことなく、その動きや働きに応じて自然な形で調整します。からだの形、姿整、動きをみれば、体内に起こっている異常がわかるだけではありません。形をなおすことによって異常をもたらすストレスの力を解き放し、健康体に戻していくことができます。「病気の原因とその療法」を別々にとらえるのではなく「からだのバランス」というひとつの真実の上に治療の指針をおいています。
では実際に何をするかというと、人体の伸縮機能を制御する反射刺激や、四肢の関節を利用して正しい動きを繰り返す運動療法になります。そこには難しい解剖学や生理学・運動力学から物理学まで幅広く入ってきますが、皆さんにそんな難しいお話はしません。(興味のある方は、研修会のページをご覧ください)
しんそう療方がどのように「からだの形」をなおすのか、イメージで説明させていただきます。
皆さんのからだのゆがみを”シーツのしわ”だとイメージしてください。シーツのシワをとるのに、いちいちシワのある場所を手で触れてシワをとっていきませんよね。シーツの四隅を張ってしわをとるでしょう。そのシーツの四隅が手と足になります。手と足を使って、身体中のゆがみをとることができます。なぜなら身体はつながっているからです。
シーツのしわ(からだのゆがみ)は使ってきた年数ほど深くついてしまっています。しんそう療方はその深くついたしわを、シーツの四隅を張りしわをとっていきます。本来ここで使うんですよという位置に持ってきて、関節を軽く動かしてあげます。優しく何度も動かしてあげることで、ゆがんだ折り線は薄くなり、まっすぐな正しい線をなぞるようになります。こうして本来の形に戻してあげれば、気がつけば不調が気にならないからだに変わっていきます。やっていることは運動療法になります。
しんそう療方がなおすのは、やっぱり「からだの形」です。
私たち人間の基本的な姿は「自然」である。
バランスのとれた自然の姿が本来の人間の姿なのである。
その自然な姿とは「健康体」のことである。
心身ともに健康であれば、どの様な仕事にもチャレンジできるし、それによって幸せな家庭を築くこともできる。
あるいは大きな夢を実現させることも、健全な結婚生活にゴールインすることもすべては健康な心身が伴ってこそなのである。
いわば自然の姿は、幸福を生み出す原動力なのである。
「身体を揃える」ことは幸福を揃えることだと言っても差し支えない。
しんそうは確かに病気治療に対する解決法を提示する学問であるが、それと同時に私たち人間の幸せを追求する学問であることも知っていただきたい。
本来病気治療は病気を軽減するためだけにあるものではなく、もっと統合的な人間学でなくてはならない。