なぜ、からだの形をなおすのか。
人体を、液体(血液など)と固体(筋・骨など)の動く構築物と捉えてみましょう。
そこに、構造学が見えてきます。
人体も他の建築物や構造物と、なんら変わりはありません。
全ての機能(役割)は、その正しい構造(形)の中にあります。
その形だから、その仕事ができるのです。
扉をイメージしてみましょう。
扉が構造どおりに組み立てられれば、スムーズに動き長く丈夫に使えます。
扉が傾いて取り付けられれば、重たく開けづらく軋んでそのうち壊れます。
人体に置き換えてみましょう。
肩関節が、股関節が、構造どおりの位置にない。
その状態で使えば、壊れることは容易に想像できるでしょう。
形が悪いから、うまく働くことができない。
だったら「形」をなおしましょう。
機能を取り戻すために、構造(形)をなおします。
だから、しんそう療方は「からだの形」をなおします。
これがしんそう療方として、40年以上提唱してきたことです。
しんそう療方は解剖学がいう基本の形(解剖学的基本の肢位)に機能した形に健康の原点があるという考えに基づいた療法である。
■ 健康のとき・・・
体は左右対称性の形をしており、左右対称性に機能している。
または左右差が少ない状態にある。
■ 不調のとき・・・
体は左右非対称性に変形しており、そのからだは左右対称性に機能していない。
この療法は全ての患体に対し、痛み・炎症・硬化や動く事の不自由を作り出すからだの変形(筋機能の左右差)を 解剖学的基本の肢位に復すことを目的としている。 しんそう療方は一般的な症状療法、対症療法(痛い箇所や症状の「部分」を治すことを目的としたもの)ではなく 全体の形からシステムを正し、病変の原因を取り除くことを目的としたものである。
基本の形=解剖学的肢位
基本の形というのは、筋骨格系のシステムが最も安定的に機能する形(健康の形)と考えられている。解剖学的基本の肢位の形のことである。 筋骨格系は左右対称性構造であり、対称性に機能しているとき、背骨は手足の筋によって左右から対称性に支持固定され、正中矢状面に支柱として存在し、 柱の役をすると共に健康な形を作る。この時、脊柱は前額面と交叉する線上に重心が働き、全体節の骨配列は整合性を保ち、力学の原理に適した形に安定機能する。 生体力学は生きた体の動きについてこのことを詳しく説く。
健康のとき、誰でも脊柱は中心に形よく整っている。それは様々なからだの形を作る手足の筋が対称性に脊柱を支持固定しているからである。 脊柱が正中矢状面に支持固定されているとき、重力を支持する柱としての強さと運動性を兼ね備えた機能を担うことができる。
反対に手足の筋機能に左右差が生じ、背骨を対称性に支持固定できなくなると、背骨は手足の筋機能にしたがって中心軸性を失い左右差ができる。 必然的に支柱としての機能が不安定になる。力学でいうテコの作用、力を産出する機構の質量や重力からなる法則が成り立たなくなる。一般の機械系と 同様にエネルギー効率が悪くなり、関節や靭帯などの組織が疲労、磨耗し、ストレスのかかる側に炎症や腫脹が生じ、物理的異常がおきる。関節組織や神経・ 筋の伝達系が上手く作動しなくなる。
脊柱は手足の能動的運動を受け、受動的運動を行う組織である。手足の筋機能の左右差は身体運動や姿勢保持においても脊柱を支持する 張力のバランスが崩れ、バランス機能を欠いた運動軸は身体運動を不自由不安定にする。身体運動を作り出す手足の随意運動の左右差は姿勢 を作る構造上のアライメントと構造部分、特に脊柱の機能を失調させる。